Process·2026.02
手と複製のあいだ — 加筆という決断
完成されたデジタル原画は、それだけで美しい。だからこそ、そこへ手を入れることは決断になる。色は足さない。透明な立体と、金属の輝きと、わずかな発光だけを重ねる。
ナイフでジェルメディウムを盛ると、はじめは白く濁る。一晩おくと、それは完全に透明な光沢の立体へと変わる。クリームの盛り上がり、ドレスのしわ、波のしぶき——画面のどこに物質を宿らせるかは、絵を読み解く行為そのものだ。
光らせたい場所にだけ箔下の糊を引き、真鍮の箔を乗せて余分を払う。退廃的で美しい金属の輝きが、画面に時間の層を与える。最後に、瞳の光と波の頂点へ、ごく微量の白を数点。絵全体が、内側から発光しはじめる。
— Lui.F